調査研究
能登復興実践研究交流会でJALグループの取り組みを起点とした関係人口の有効性について発表しました
2025年11月23日、日本災害復興学会が主催する「能登復興実践研究交流会」において、株式会社JAL航空みらいラボ 航空事業調査研究部 調査研究員 上入佐慶太が登壇しました。上入佐は、能登半島地震およびその後の豪雨災害におけるJALグループの対応事例を基に、災害発生時における関係人口(特定の地域と継続的に多様な関わりを持つ人々)の有効性について発表しました。
発表ではまず、能登半島地震発生後にJALグループが実施した各種支援について紹介しました。日本航空によるお見舞金の寄付や社員による募金活動に加え、マイレージ会員基盤を活用した「JALチャリティ・マイル」や「JALふるさと納税」を通じた寄付など、航空会社ならではのアセットを活かした取り組みについて紹介しました。さらに、これまで実施してきた地方留学事業やフィールドワーク型プログラムなど、平時から関係人口を育んできた事業の蓄積が、災害時の支援の広がりにもつながっていることを共有しました。
続いて、地震の後に発生した豪雨災害において、関係人口のネットワークを活用したボランティア派遣の事例を紹介しました。能登町定住促進協議会やNPO法人ETIC.と連携し、2024年10月から12月の週末にかけて全7回、延べ70名以上が参加するボランティア活動を実施しました。現地では、田んぼの手刈り収穫や水路の復旧、家屋からの泥出し、里山整備など、農と暮らしの再建を支える作業に取り組みました。参加者と農家さんとの間には、被災者と支援者という関係を超えて、お互いに豊かな関係性が育まれたことを共有しました。
一方で、こうしたボランティア派遣の裏側では、現地コーディネートを担う中間支援組織に負担が集中してしまうという課題も浮き彫りになりました。今回の取り組みでは、急性期の支援を目的としていたため、参加者と地域のつながりを「繋ぎ止めておく」ための仕組みづくりが十分ではありませんでした。しかし、一部の参加者は自主的に農家さんや集落とのコミュニケーションを継続し、再訪や情報発信などを通じて中間支援組織と地域の間をつなぐ役割を果たし始めていました。発表では、関係人口となったボランティア参加者が、将来的には現地コーディネーターの役割を担い、新たな関係人口を巻き込んでいく可能性についても示されました。また、その過程でDAO・Web3といった新技術の活用余地があることについても提起しました。
こうしたJALグループの事例を通じて、災害時における関係人口の有効性は、短期的な人的支援にとどまらず、地域コミュニティの再生や中長期的な復興プロセスにも影響を及ぼしうることが示唆されました。
株式会社JAL航空みらいラボ 航空事業調査研究部は、今後もJALグループの一員として、平時からの関係人口創出と有事の防災・復興の双方の観点から、地域に根ざした調査研究を進めてまいります。また、航空会社ならではの「人と人・地域と地域をつなぐ」責務の新たなあり方を探究してまいります。